俺様御曹司は逃がさない

〖もしも~し。舞ちゃんから電話くれるなんて嬉しい~〗

〖こんにちは。いきなりすみません。今って電話大丈夫ですか?〗

〖大丈夫よ~。で、どうしたの?〗


めちゃくちゃ食い気味な九条のお母さん。


〖あの、霧島さんのこと何ですけど……〗

〖ああ、霧島ね。霧島は今長期休暇中よ~〗

〖そうですか……〗

〖霧島に会いたい?柊弥嫉妬しちゃうかもよ~?ふふ。楽しくなってきたわね!!〗


いやいや……何も楽しくないし、あいつが嫉妬する意味も分かんない。


〖ははは。……あの、霧島さんと九条がギクシャクしちゃったの、あたしが原因と言いますか……〗

〖ふふっ。そんなこと気にしなくてもいいのよ~。柊弥も霧島もまだまだ子供ね~。位置情報送るから行ってみて?多分、霧島いると思うから~〗

〖え、あ、はい〗

〖うちの男衆が迷惑かけちゃってごめんね~?〗

〖いっ、いえ……そんな〗

〖じゃ、またね?舞ちゃん〗

〖はい。失礼します〗


九条のお母さんからすぐ位置情報が送られてきた。


「ここって……」


え、徒歩圏内じゃん。

まだ夕飯の準備まで時間あるし、ちょっと行ってみようかな。

スマホと財布だけ持って部屋を出た。


「あ、お父さん。ちょっと出掛けてくる」

「ど~こ行くんだよ~。父さんを置いてきぼりにするなんてっ……」

「はいはい。じゃーね」