────── 長い長い1日が終わった。
「榎本さん。ありがとうございました」
「いえ。お疲れ様でした」
車から降りて一応九条にも一声かける。
「じゃ」
「ん」
適当に手を振る……というより、シッシッと犬を払うような手振り。
あたし達はだいたいこんなもん。
ブーンッと去っていく九条家の車を横目に、あたしは家の中に入ろうとした時だった。
「おー、帰ってきたかぁ。お勤めご苦労さん」
特に何もない庭でビールを片手に座っているお父さん。
「なにしてんの?」
「たまにはボーッとするのもありだな」
「腐るほどボーッとしてんじゃん、毎日」
「おまっ、父親に向かってそりゃないでしょ~」
立ち上がって肩を組んでこようとするお父さんを軽く躱して、もう絡まれるのもダルいから無視して家の中に入った。
部屋に行って速攻することは……もちろん美玖達に連絡!!
机から連絡先が書かれたメモを取り出して、スマホに登録する。
さっそく美玖・梨花・拓人にメッセージを送った。
《七瀬 舞です》
すると、すぐ返事が来た。記念すべき第1号は……。
《わぁ、舞ちゃ~ん♡久しぶり~!》
《久しぶり~!美玖元気~?》
《元気だよ~♡》