俺様御曹司は逃がさない

ワレモノを扱うように優しく丁寧に、ゆっくりとあたしの腹部を撫でるように触れてくる九条。

九条の触れた部分が妙にアツくて、緊張と恥ずかしさ、そして……ハジメテの感覚に少し怖いとさえ思ってしまう。 

そのせいで呼吸が乱れて、上手く息が吸えない。


「触り心地いいな、お前」


耳元でそう囁く九条の声に、体の芯がギュッとして全身が火照っているのが分かる。


「さっさと謝ったら?」

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……ごめん、なさい。もう、やめて……っ」


苦しい。

分かんない。なんでこんなにも心臓がバクバクしているのか、この異常なまでの緊張と羞恥心。

全身がゾクゾクして、変な感じがして、自分の体が自分の体じゃないみたいで、それがとても怖い。


「はぁっ、はぁっ、九条……っ、待って……」


あたしの異変に気が付いたのか、パッと手を引っこ抜いて、軽々と肩にあたしを担いだ九条。


「悪い」


ボソッとそう言うと足早に向かったのは、もちろんVIPルーム。

バンッとドアを開けて、シーーンッとしているVIPルーム内をズカズカ歩き、連れ込まれたのは九条の部屋。

九条にしては珍しく丁寧にあたしをベッドに降ろしてくれた。