俺様御曹司は逃がさない

・・・・さっきの冷たい瞳、雰囲気とは打って変わり、ヘラヘラして小馬鹿にするような態度の九条。

こいつは下半身事情だけではなく、シンプルに性格の悪さがクズすぎるでしょ。


「デリカシー皆無すぎて笑えませんけど」

「つーかさ、グダグダ言うくらいならお前が俺の相手しろよ。お前だったら特別に何時でも相手してやってもいいよ~」

「はは。逆立ちで日本1周する方が断然マシですー」


あたしは舌打ちしながら九条を放置して歩き始めた。

すると、後ろからガバッと覆い被さってきた九条。少し離れた所にいる人達が、甲高い悲鳴のような声を上げている。


「あの、やめてくれませんか。重いんですけど」

「お前、マジで生意気すぎんだろ」

「それ、あんたにだけは言われたくない」

「謝ったら許してやるよ」

「はは。“俺の誘いを断りやがって”的なやつですか?随分とプライドが傷付いたようでー」

「ふーん。これでもそんな生意気な口利けんの?」

「は?なにをっ……っ!?」


九条の手があろうことか制服の中に侵入してきて、あれよこれよという間にあたしの素肌にピタッと触れた。

ビクッと体が反応してしまう。

九条が覆い被さってるから多分、周りには何が起きているかは見えていないはず。

いや、見えている・見えていない……なんてこの際どうだっていい。