俺様御曹司は逃がさない

それに、どう考えてもあたしは厚待遇を受けている。本来なら本当に感謝しなければならない。それでも感謝の気持ちが失せてしまうほど、九条がうざすぎるのが問題である。


────── いつ見ても規格外な天馬学園……。


「ご機嫌よう」

「おはようございます。九条様」

「今日も素敵ですわ」


などなど、声をかけられるも足を止めることはなく、適当な笑顔を振り撒いて進んでいく九条。

あたしは軽く会釈をして、当然の如く九条の隣を歩いている。


「つーかお前、自由時間誰と何処で何をしてるわけ?ぼっちならッ……」

「それを九条様に報告する義務はありませんよね。自由時間に誰と何処に居ようが何をしてようが、あたしの勝手では?ちなみに“ぼっち”ではないのでご安心を」


自由時間は前田先輩とランチしたり、胡桃ちゃんや純君とランチして、その後ちんぷんかんぷんな授業のお復習をしている。

純君の教え方が上手で、低能なあたしでも微妙に理解できるし、とっても助かってるんだよね。

何だかんだで胡桃ちゃんと純君とは、友達になれた……とあたしは思ってる。

あたしのせいで周りから白い目で見られても、2人とも『気にしない気にしない!!』って、笑顔で言ってくれて、本当にいい人達すぎて逆に心配になるレベル。