俺様御曹司は逃がさない

「これ以上馬鹿になったらどうしてくれんのよ。責任取ってくれるわけ?あんたのせいであたしの脳細胞ほぼ死んだわ。間違えなく」

「……責任ねえ」


何故かあたしをガン見して、一切目を逸らさずに瞳の奥まで覗き込む勢いで接近してくる九条。


「ちょっ……ちっ、近い」

「七瀬」

「な、なに」

「…………やっぱお前、警戒心無さすぎ。つーか、色々と欠如しまくり」

「はい……?」


“やれやれ”と言わんばかりのため息を吐きながら、元の位置に戻って少年誌に目をやる九条。


「お前は俺のもんなんだから、変な虫につけ込まれたりすんなよー」


『俺のもん』……ね。

どーせ道具ですよ、オモチャですよ、暇潰しの。


「ハイハイ、分かってますよ。我がマスター」

「あんま調子に乗るようなら減給するけどー?」
 
「申し訳ございません」

「ハッ。金の言いなりってか?無様だねえ」


・・・・マジでうっっざぁぁ。

でも、さっきATMで確認したら本当に20万入ってた。最低ラインの20万。

2週間近く病院生活をしていたのにも関わらず、ちゃんと20万貰えちゃったもんな。

マジで九条はうざいし、本当にうざいし、うざいけど、こんなに稼げる仕事はそうそう無い。