俺様御曹司は逃がさない

九条のもとへ行くと、あたしの腕を掴んで引っ張り、車のドアを開けてあたしを車内にポーイッと放り投げた。


「ちょっ……あんたねぇ!!」

「あ?なんだよ」


一切悪びれる様子のない九条に腹が立つ。


「……っ!!あーーもうっ!!うっざ!!」

「それ、こっちのセリフな?」

「ハッハッハッ。相も変わらず仲がよろしいようで」


・・・・薄々思っていたことがある。

榎本さん……わざと九条を煽って、苛立たせる言動・行動をしている……そんなような感じがする。


────── あ。そういうこと?そういうことなのかな?


榎本さんは霧島さんを九条のお付きに戻してあげたい……そう考えているのかもしれない。

九条のことも、霧島さんのことも考えて、このペアがベストだと榎本さんは考えているのかもしれない。

・・・・榎本さんなりのやり方ってやつなのかな?

正直あたしが被害被りすぎてますけどね……はは。


「────── せ。おい、貧乏人」

「え?なに?」

「名前には反応しねーのに、“貧乏人”には反応すんのな」


・・・・しまった……。

嬉しそうにニタニタしてる九条。言うまでもなく九条って性格ひねくれてるよね?