俺様御曹司は逃がさない

「はぁぁ。もぉ……貸して」

「ん」


壊れたドライヤーをあたしに渡してきた九条。

そして、あたしは容赦なくそのドライヤーをブッ叩いた。


「おいおい、マジかお前。そんなんで直るわけっ……」


ブォーー。


「はい。どーぞ?」


ニコッと微笑んで、温風がしっかり出ているドライヤーを手渡した。


「やっぱ貧乏人は違うねえ。感心感心~」

「ははは。そりゃどうもー。では」


その場を去ろうとすると、ガシッと腕を掴まれた。


「髪、乾かして」

「……は?」

「もうドライヤーする気分じゃなくなったんだよね~」


ドライヤーするのに気分も何もないでしょうが。


「は、はあ……で?」


洗面台前の椅子に座って、偉そうな態度をしながら鏡越しに、“さっさと俺の髪を乾かせよ”と言わんばかりな顔であたしを見てくる。

・・・・その綺麗な髪、焦がしてやろうか……?

そんなことを考えながらドライヤーを手に取り、仕方なく九条の髪を乾かすことに。

どうせ嫌がらせのように動き回って、まともにドライヤーさせてくれないんだろうなって、そう思ってたんだけど……ジッとして、大人しく髪を乾かされている九条。