────── その大きな瞳で俺を見つめ、何を思い、何を伝えてくんのか……。


「こりゃ時期外れの大雪になりそう」


・・・・・・は?


「あ?」

「んぐぅっ!!ギッ、ギブギブギブギブ!!!!」


あんな瞳で俺を見上げて見つめてたくせに、なぁにが『こりゃ時期外れの大雪になりそう』だぁ?

ふっざけんじゃねーよ。

軽~くバックチョークをキメると、俺の腕をバシンバシン叩く七瀬。

パッと放すと、物凄い形相で俺を睨み付けている。


「ちょ、あんた馬鹿なの!?死ぬわ!!!!」

「んなわけないっしょー。軽く絞めただけじゃん。これだから貧乏人には大袈裟で困っちゃうよねえ」

「はあ!?それ貧乏人とか関係ないでしょ!!マジで信じらんない。バカ、アホ、クズ、ゴリラ!!」


そう言うと、ドスンドスンと効果音が付くような歩き方をして、歩き始めた七瀬の後ろ姿が“可愛い”……そう思った俺はどうかしてんだろうな。


「……つーかお前、誰に向かってバカだの何だの言ってんだよ」


再びバークチョークを極めようとしたら、ひょいっと躱された。


「フンッ。二度も同じ手は食らいません」


鼻で笑ってドヤ顔の七瀬。

・・・・この上無くうっっぜえ。