俺様御曹司は逃がさない

その役目は本来 ──── 俺だったろ。

宗次郎に何もかも先を越されて、七瀬の心が宗次郎のモンになるんじゃないかって思うと、死ぬほど気に入らねえし焦る。

・・・・“七瀬舞”という存在、心も体も全部引っ括めて俺のモンなんだよ……とか、ごちゃごちゃ言っちゃって、なぁにアツくなってんだよ俺。ほんっと馬鹿馬鹿しい。

にしても軽っ。こいつちゃんと飯食ってんのか?

七瀬を担いで歩いていると、予想外な言葉が聞こえてきた。


「ごめんなさい」


『ごめんなさい』……?

それは何に対しての謝罪だよ。つーか、こいつが謝るなんて珍しいな。


「は?」

「だから、ごめんってば!!」

「あ?何が?」

「……あんたに恥をかかせて、ごめんって言ってんの」

──── は?

俺は担いでいる七瀬を適当に降ろした。

・・・・いや、恥をかいたのはお前だろ?なんで俺のこと気にしてるわけ?マジで馬鹿だろ、お前……そう思うのに、こいつが俺のことを想ってくれているみたいで、それが妙にくすぐったく感じる。

まあ……こいつになら謝ってやってもいい。


「……はぁぁ。悪かったな」

「……え?」

「悪かったっつってんの」


七瀬の大きな瞳が俺を捉えて離さない。柄にもなく胸が高鳴った。この高鳴りがなんなのかいまいち分からんねーけど、胸が高鳴る……なんてことは、こいつ以外にはない。