俺様御曹司は逃がさない

「あの、降ろしてくれません?恥ずかしいんだけど」

「お前の恥ずかしいとか知ったこっちゃねえっつーの」


・・・・九条が何に対して怒っているのか、機嫌が悪くなっているのか、あたしにはよく分かんない。あたしがあの場から逃げようとしたこと?宗次郎と関わってること?それとも、俺に恥をかかせんなってこと?

・・・・うん。圧倒的後者な気がするわ。


「ごめんなさい」

「は?」

「だから、ごめんってば!!」

「あ?何が?」

「……あんたに恥をかかせてごめんって言ってんの」

だってあの時、『まっ、そそっかしいのも見てる分には面白いからいいんじゃね~?だいたい、こいつにテーブルマナーとか分かるわけないっしょ。こんな飯食うことねえんだから。気にすんなよ、好きなように食えば良くね~?』ってヘラヘラしながら言ってたけど、内心はめちゃくちゃ怒ってたかもしれないし……。

自分のサーバントがあんなんじゃ、そりゃ恥ずかしくなっても仕方ないとは思う。

すると、ピタッと止まって乱雑に降ろされた。


「ちょっ、もう少し丁寧に降ろしなっ……」

「お前、俺があんなことで怒ってるとか本気で思ってるわけ?」


腕を組み、少し屈んであたしと目線を合わせてくる九条。目力が半端ないし、妙に圧力を感じるし、嫌な汗がジワッと出てくる。


「そっ、そうなんじゃないの?」

「あ?俺があんなことで怒る“みみっちい男”だと思ってるわけ?お前は」

「うん」

「シバくぞ」

「ゴメンナサイ」


大きなため息をついて、あたしを見下ろしている九条。それを見上げるあたし。


「……はぁぁ、悪かったな」


・・・・え?

え??ええっ!?あの九条が……謝ったぁ!?