俺様御曹司は逃がさない

そのままあたしの腕を強く握って引っ張る宗次郎。

もう少しにで外に出られる、これで解放される……そう思ったけど、本当にこれでいいのかなってモヤモヤする。半強制的とはいえ、自ら九条のサーバントになるって決めたのに、逃げ出していいの……?


「宗次郎。ごめん」


あたしは宗次郎の手を払った。


「……舞。気付いてんだろ?お前はただの“九条柊弥の暇潰し”にすぎないって」


そんなこと分かってる。分かってるよ。分かってるけど……それでもあたしは、あいつのサーバントで在ることを選んだ。


「それでもあたしは九条のっ……」

「七瀬」


その声に振り向くと、そこにいたのは言うまでもなく九条柊弥。紛れもなくあたしのマスター。


「あ、あの、九条っ……」

「宗次郎、お前は戻れ。こいつは俺が送ってく」

「お言葉ですが九条様っ……」

「戻れっつってんだろ。聞こえねぇのか」


九条の地を這うような低い声、表情が氷のように冷たい。機嫌の悪さがひしひしと伝わってくる。


「ごめん、九条。あたし戻るから」

「あ?体調悪いんだろ」

「ううん。大丈夫」

「あっそ。じゃ、帰んぞ」

「うん……え?は?ちょっ……!?」