俺様御曹司は逃がさない

ていうか、あたしって……見た目は悪くないの?こーんな、ごく普通な女が……?ま、お世辞か。美玖とかもそうだけど、会う人会う人あたしの容姿""だけ""は褒めてくれる。


「つーか話逸れてっし……。舞だろ?あの人に俺の名前呼ばせたの。今まであの人が『宗次郎』なんて呼んだことねーし」


あ、もしかして嫌だったのかな。あたし多分、お節介体質かもしれない。気をつけないとヤバいな。


「……ごめん。余計なことしちゃった」

「いや、別に……良くも悪くもねーから」

「そっか」

「あっ、舞ちゃん、宗次郎く~ん。待っててくれたの~?凄いサーバントっぽ~い」


手を振りながらニコニコして九条とやって来た咲良ちゃん。

・・・・九条の制服が少し、ほんの少しだけ乱れている……気がする。


「なにお前、らしくねぇことすんじゃん。ちゃんと“待て”できたんだな~。感心感心」


ニヤニヤしながら近付いてくる九条。


「あたしを何だと……」


九条の香水の香りとは別に、咲良ちゃんの女の子らしい甘ったるい香水の香りが、フワッと鼻を突いてきた。


「ご褒美やるよ」


そう言いながらあたしへ手を伸ばして来た九条。きっと、あたしの頭を撫でようとしている。


──── バチンッ!!