俺様御曹司は逃がさない

「九条様と叶様は許嫁……とは言うものの、そういう関係では一切ないので安心してくださいね。七瀬さん」


全く見当違いなフォローをしてくれる前田先輩。ぶっちゃけ九条と咲良ちゃんがどんな関係だろうとあたしには関係がない。あたしはただのサーバントで、九条にとってはただの暇潰しにすぎないんだから。


── ズキッ。

・・・・ん?胸が痛い。なに、この痛みは……。


「過度なストレスだな」

「ん?舞ちゃん、何か言った?」

「あ、いえ……すみません。何でもないです」

「叶様はとてもいい方ですよ。きっと七瀬さんとも仲良くなれるはずです」

「そうですか。だといいですけどね」


そりゃ咲良ちゃんがいい人だってことは分かる。だって、あたしにも分け隔てなく接してくれるし。見た目も可愛らしくて、性格も良くて、お金持ちとか……あたしが勝ってる所なんて何一つないよ。


「泣いてんの?」

「……は?」


どうやらあたしは立ち止まって、うつ向いていたらしい。前を向くと誰もいない。振り向くと、そこにいたのは宗次郎だった。


「どいつもこいつも、あの人のどこが良いわけ? ただのクズじゃん」

「それな」

「即答かよ」

「あいつの良さがあたしには分からん」

「ふーーん」