俺様御曹司は逃がさない

スマホを手に取って、画面をジーーッと見つめながら動きが止まっている九条。


「電波ねえわ、ここ」

「……へ?」

「圏外だって~。今どき校内で圏外な場所があるとかありえなくねえ?マジでウケる~」

「……あははっ。だねーー、超ウケるーー」


・・・・って、なるわけないじゃんっ!!!!なんっにもウケないんですけど!?微塵も笑えんわ!!


「まっ、蓮達が捜しに来るっしょ。モーマンタイ」


その辺に置いてあった椅子に座って、ヘラヘラしている九条に殺意が湧いてくる。


「あんたがこんな所に連れ込むから、こんなことになったんでしょ!?」

「俺と2人きりで密室にいると何か不都合でもあんの~?是非とも教えてほしいね」


なんて言いながら立ち上がって、あたしにゆっくりと近付いてくる九条。高校生とは思えない色っぽい表情と雰囲気──。


「いやっ、そのっ、それはっ、違くてっ」


・・・・だめだめ。思い出しちゃダメ。忘れてたのに、思い出しちゃったじゃん!!九条との……キス。


「ククッ。なぁに焦ってんの~?」
「ちがっ……」


後退りしていたあたしの背中にコツンッと何かが当たった。おそらく壁か棚だろう……。もう、これ以上は逃げらんない。