俺様御曹司は逃がさない

「へえーー」

「もちろん悪い意味で」

「でしょうね」

「あの人のサーバントなんて辞めたら?」


表情を何一つ変えることなく、淡々とそう言い放った宗次郎。『あの人のサーバントなんて辞めたら?』……ね。


「なに、上杉先輩の差し金?」

「は?なんのこと?」


あたし達はさっきから九条に聞こえないよう会話をしている。小声で前だけを向いて、お互いを見ようともしない。

・・・・明白な何かがあるわけじゃないけど、何かが引っ掛かる。



「サーバントになるのが嫌で一般に行ったんでしょ?」

「まぁね」

「ならなんで咲良ちゃんのサーバントなんて引き受けたの」

「さあ?……あ、同い年だし宗次郎でいいよ。舞でいい?」

「は、はあ……別になんでも」


すると、あたしのスカートのポケットにスッと何かを入れてきた宗次郎。ポケットの中に手を入れると、紙切れらしき物が入っていた。


「それ、俺の連絡先」

「要らないんですけど」

「仲良くしよーぜ。お互い愚痴溜まりそうだし、同期なんだからさ」


上杉先輩とは真逆なタイプだな。まあ、咲良ちゃんが九条と一緒にいる以上、関わることは増えそうだしな。


「連絡はまだできない」

「どういうこと?」