俺様御曹司は逃がさない

「もお、ちょっとしたジョークみたいなもんでしょ?」

「……じょ、ジョーク?」

「そ、冗談だよ~?まあ、冗談ってゆうか……お父さん同士が昔勝手に決めた~的な?」

「七瀬」  

「え、あ、はい」

「気にすんなよ」 
 
「は、はあ……」


何故かあたしを見て『気にすんなよ』と言う九条。別に気にしてもないし、どちらにしろ“へえ~”って感想しかない。


「あの柊弥がサーバントをねえ……。舞ちゃん、柊弥のサーバント大変じゃない?辞めたら?」

「「は?」」


見事に声を揃えた九条とあたし。


「柊弥のサーバントなんて辞めて、私のサーバントにならない?私、しばらく天馬に通うことになったの。お給料は上乗せして支払うわ」

「いや、あ……あのっ……」

「咲良、どういうつもりだよ」

「なによ、そんな怖い顔しちゃって~」

「こいつは俺のモンだ。誰にもやるつもりはない」


九条は少し目を細めて怒ったような顔をしている。それに動じることなく笑っている許嫁。


「フフッ。柊弥がそんなに怒るなんて……珍しいこともあるものね」


・・・・いやいや、こいつが怒ってないほうが珍しいですけどね。怒ってばっかですよ、この男は。


「こいつは誰にもやらん」

「はいはぁい、分かった分かった~」