俺様御曹司は逃がさない

あたしの頬をつねって遊んでいる九条を一発殴ってやろう……そう思った時だった。


「柊弥っ!!」


可愛らしい声で九条の名前を呼んだのは……本当に可愛らしい女の子だった。笑みを浮かべ、手を振りながらこちらへ走ってくる。九条はあたしの頬から手を離して、ばつが悪そうな表情を浮かべた。


咲良(さくら)……お前、なんで日本にいんだよ」

「ええ?いちゃあ悪いの~?」


チラッとあたしを見てきた“咲良”と呼ばれた女の子。


「あなたは?」

「……え、あ、あたしは九条様のサーバントでっ……」

「柊弥のサーバント?」


視線が首元に移り、九条のサーバントである“証”(ネックレス)を見て、ニコッと微笑んだ。


「へえ、あなたが柊弥のサーバントなのね。名前は?」

「七瀬舞です」

「舞ちゃんか~。柊弥には勿体無いくらい美人さんだね」

「え?いや……そんなことは」

「フフッ。私は叶咲良(かのうさくら)。柊弥の許嫁なの」


・・・・許嫁……?


「はあ!?許嫁っ!?」


思わず大きな声を出してしまった。こういうお金持ちの世界には、本当に許嫁とかいるんだ……スゴッ。


「咲良、お前っ……」