俺様御曹司は逃がさない

「あ、あと、あの人の機嫌を損ねるようなことはやめてください。面倒くさいんで、本当に」

「ククッ。さあ?何のことでしょうか」

「わざとですよね?あたしばかりに話を振って絡んできてたの」

「ハハッ。いやぁ、ついつい。申し訳ないね」


榎本さんはきっと、この状況を楽しんでいるタイプだと思う。……ぶっちゃけ質が悪い。というか、早く九条を追いかけないと更にドヤされるはめになりそう。


「榎本さん。悪ふざけも程々にお願いします」

「2人が可愛くてね……ククッ。気を付けます」


あたしは榎本さんに軽く頭を下げて、九条を追いかけた。


一応謝ったほうがいいかな?


「ごめん、遅れっ……」

「お前、男だったら誰でもいいわけ?あんなジジイまで許容範囲とかヤバすぎ」

「……は?」

「マスターである俺を差し置いてあのジジイと話し込むとかナイわー」


ムスッとして、スタスタと先へ行ってしまう九条。あたしの歩幅に全く合わせようともしてくれない。そう思うと、普段はあたしの歩幅に合わせてくれてるってことか──。

あたしは早歩き状態で九条の隣に並んだ。


「ねえ、九条っ……」

「言っとくけど、霧島も榎本も女癖悪いなんてもんじゃねーから。お前なんて軽く遊ばれて捨てられるぞ」