俺様御曹司は逃がさない

「ははは……面白そうですね」

「是非、読んでみてください。私がお貸ししましょうか?」

「あーー、はは」


隣に座っている九条がいつ怒り始めるか分からなくて、チラチラ機嫌を伺わなくてはならないあたしの身にもなってほしい。


「あ、あの、九条は読んだことっ……」

「んな低レベルな本、ガキの頃に読み終わってるっつーの」

「あ、あらそう……」

「ま、お前みたいな低レベルの奴にはいいんじゃなーい?知らんけど」


・・・・うっざ。このうえなくうざいわ。


「あーーそうですか。なら榎本さんっ……」

「読みてぇなら俺んとこ来い。持ってる」


いや、あんたから借りたくないんですけど。


「結構です」

「あ?」

「もう読みたくもありませんので」

「ハッハッハッ!実に面白い。これはなかなか骨が折れますなぁ、柊弥様」

「チッ」


無駄に長い腕と脚を組んで、プイッとそっぽを向いた九条。

・・・・なんだろう。榎本さん相手だと九条が少しだけ……子供っぽくなってる気がする。

霧島さんは何だかんだ九条のことを“主”として認めてて、慕っているっていうか……従っている感じが強いんだけど、榎本さんはどちらかと言うと……悪ガキを相手にしているような感じで九条の相手をしているような……。