俺様御曹司は逃がさない

真後ろから突然聞こえた声に、心臓が飛び出そうになった。


「ギャァァァァーー!!!!」


叫びながら振り向くと、両耳を押さえて眉間にシワを寄せている九条がいた。


「んだよ……うっせえな」

「なっ、ちょっ、気配消して近付くのやめてくれない!?」

「声かけたっつーの。聞いてなかったのお前じゃん」

「あ、ああ……ちょっと考え事してて」

「無い脳ミソで何を考えてんだか~。ったく、鼓膜破れるってのー」


呆れた顔をしながら、あたしを見下ろしている九条。それを見上げて、ひきつった笑みを浮かべる私。


「そりゃ申し訳ございませんでしたーー」

「ハッ。さっさと行くぞ~」


あたしの額にペチッとデコピンをして、鼻で笑いながら歩き始めた九条。


・・・・いつか、いつか絶っっ対に仕返してやる。そう心に強く誓って九条の後を追った。


「ねえ」

「あ?」

「霧島さんのことなんだけどっ……」

「なに、この俺に説教でもする気?」

「いや、別にそういうわけじゃっ……」

「だったら首突っ込んでくんなよ、鬱陶しい」


隣を歩く九条をチラッと見上げると、ムスッとして不機嫌そうにしている。それに、どこか寂しそうでもあった。