俺様御曹司は逃がさない

七瀬を部屋に放置して風呂場に向かった。あ、霧島に車まわすように言っとくか……って──。


「……チッ。はぁぁぁ、めんっどくせえ」


──── シャワーを浴びて部屋へ戻ると、ソファーに座って寝こけている七瀬が視界に入る。

タオルで髪を拭きながら七瀬に近付いて、手を伸ばせば届きそうな距離まで来た。

・・・・綺麗な寝顔してんな。


「黙ってりゃそこそこイイ女なのに」


規則正しい寝息を立てて無防備な姿……。ほんっと、警戒心の欠片もねえな。そんなんで俺のサーバントが勤まんのかよ、まったく。


「…………頼むから壊れんなよ」


七瀬に手を伸ばし、頬にそっと触れた。すると、モゾモゾっと動いて起きそうになった七瀬に焦って、思いっきり頬をつねくった。


「……っ!!いっったぁぁいっ!!……ちょ、何すんのよ!!」

「勝手に寝こけてんなよ。サーバントの分際で」

「信じらんない!!ほんと最っっ低!!」


俺を見上げている七瀬の瞳がうるうるしてて、それが何故だか妙にムラッとする。


「お前、ソレわざと?」

「は?何が!?」


・・・・ねえな。こいつに限ってねーわな。そんな計算高い女でも無ければ、あざとい女でもない。これはこいつの“素”でしかない。