俺様御曹司は逃がさない

「……はぁーあ、アホくさ」

「はあ?今なんて言った?アホにアホなんて言われたくないんですけどー」


死んだ目をしながら俺を睨み付けてくる七瀬。

別にお前に言ったわけじゃねーよ。自分に言ったんだわ。


「あーー、ハイハイ。もう面倒くせぇから絡んで来んな」

「はいぃ?いっつも無駄に絡んで来るのはあんたでしょうが!!」

「馬鹿な奴ほどよく吠えるってまさにお前のことだな。うっせえー」


そう言いながら俺は、七瀬に背を向け歩き始めた。すると、後ろでブツブツ言いながらも俺について来る七瀬。


「だいたいあんたは~ ────」


グチグチ言いながらムスッとして、当たり前かのように俺の隣を歩いている。“対等”……こいつは俺と対等で在ろうとする。というより、端から俺を敬う気が更々ない。これが他の奴なら絶対許さねぇけど、こいつなら……って思う俺も大概キモい、心底キモいわ。


「ねえ、あんた。人の話聞いてる?」

「あ?ああ、うん。聞いてる聞いてるーー」

「なら、あたしが話してたこと一語一句間違えずに言ってみなさいよ」

「お前、ド庶民で超貧乏人なうえに、性格までひねくれてるとかマジで貰い手なくなるよ~?」

「それ、あんたにだけは言われたくないわ。で、人の話は聞いてたわけ?」