俺様御曹司は逃がさない

すると、どこからともなくガンガン叩く音と、あいつの『開けて』って声が聞こえてきた。つくづく馬鹿だな、ほんっとに。


「だからさぁ、俺から逃げられるとでも思ってんの~?」

「ひぃっ……!?」


振り向き様に化物でも見るような目で俺を見る七瀬。


「あ、あ、あのっ!!ごめんなさい、許してください!!」

「あ?何をしでかしたんだよ、お前」

「しでかしたのはあんたでしょっ!?」


そう言った直後、“あ、しまった”みたいな顔をして、キョドり始めた七瀬を見て俺は確信した。俺が寝ている間に何かがあったな。


「しでかしたのは俺ってどういうことだよ。俺、死んだように寝てたんすけどー」

「きっ、きっ、きぃぃーー!!!!」


急に叫び出す七瀬にぶっちゃけ引いた。


「……お前、マジで大丈夫かよ」

「大丈夫です」


いきなり正気を取り戻したみたいに、スンッと真顔になんのもやめてくんねぇかな。こえーんだけど、普通に。


「で?『きぃぃーー』が何なんだよ」

「……き、きっ、霧島さんが九条様にキッ、キスをしていました」


──── は?


「いや、マジで意味分からん」

「はははーー」


そこへ猛ダッシュをしてきた霧島。