俺様御曹司は逃がさない

・・・・どれだけ眠っていたのかは分からない。

ベッドにもたれ掛かるように眠っていて、九条がムクッと起き上がった振動で目が覚めた。


「……ん……あ、ごめん。あたしも寝ちゃってた。どう?体調はっ……!?」


九条に手首を掴まれてそのまま引き寄せられると、後頭部をガシッと掴まれてた。


「なっ、ちょっ……んんっ!?」


──── これは一体……どういうこと?

あたしの唇と九条の唇が重なっている。後頭部を押さえられてるし、抱き締められてるから離れてくてもビクともしない。本当に馬鹿力じゃん、こいつ!!


「ちょ、九条っ、んんっ……!?」


あたしが口を開けた瞬間、ヌルッとした何かが口内に侵入してきた。

──── これは、大人なキスというやつではなかろうか。

あたしは握り拳を迷わずフルスイングさせた。すると、九条のこめかみにクリーンヒット……で、そのままパタリと倒れ込んだ。

・・・・うん、これは事故。

九条は寝ぼけてたっぽいし、高熱で意識が朦朧としているだろうし、きっと起きた頃には何も覚えてないだろう。物理的な強い衝撃も食らってるから尚更ね。うん、大丈夫大丈夫。

これが“あたし”だったから……とかでは絶っ対にない。ここに居たのがたまたま“あたし”だったから餌食になっただけ。そう、ただそれだけのこと。