俺様御曹司は逃がさない

「アホか、あんたは」

「あ?お前さ、誰に向かってっ……!?」


あたしは九条を引きずって、ベッドにポーイッと投げ捨てた。


「霧島さんに蒸しタオル頼んでくるから、大人しくしててくださいませ。マスター」

「……はぁぁぁぁ。マジでうぜえ、お前」

「はは、奇遇ですね。あたしも全く同じことを思っていますよ」


素早く冷えピタと氷枕を替えて、九条の部屋を出た。

・・・・ていうか、霧島さんってどこに居るんだろう。


「霧島さーーん、霧島さーーん」


少し控えめな声で霧島さんを呼びながら廊下を歩いていると──。


「なんでしょうか」


突然ヌルッと現れた霧島さんに驚いて、思いっきり叫びそうになった。


「ぎゃっ……!?」

「ちょいちょい!!叫ぶのは勘弁してよ。勘違いされるってマジで」


あたしの口を手で塞いで、慌てている霧島さん。


「いい?もう離すよ?大丈夫?」


コクコクと頷くと、ゆっくり手が離れていった。


「……霧島さん。あたしの前でクール執事キャラ演じるの、面倒くさくないですか?ちょいちょいキャラ崩壊してますよね?もう素でよくないですか?」

「ははは……。いえ、そういうわけには」

「まあ、何でもいいですけど、クール執事キャラが物凄く胡散臭く見えますよ」