俺様御曹司は逃がさない

悲しそうに笑う九条のお母さん。九条家みたいな次元の違う家柄は家柄で、本当に苦労しているんだろうな。故に我が子へ責任を感じてしまうのだろう。“もっと、普通の家庭に……”と、そう思わずにはいられないかもしれない。

うちの親だってもしかしたら、“普通の家庭に……”そう思っているのかもしれない。まぁぶっちゃけ、もうちょっとお金に余裕がある家なら良かった……そう思ったことは何度だってある。でも、七瀬家に生まれなきゃ良かった……なんて思ったことは一度だってない。そんなこと、思うはずもない。

九条だってそんなことは思っていないと思う。

・・・・だから、そんな悲しそうな顔しないでほしい。


「たしかに軽薄だし、本当にうざくてイライラもしますけど、根っからの悪い奴ってわけではないですし、優しいところもあるっちゃあります。あたしみたいなド庶民の貧乏人をサーバントに雇ったくらいですし、“九条家”という“縛り”に、あの人ががんじがらめになって捕らわれている……なんてことは無さそうですよ。少なからず、奥様が責任を感じてしまう必要が無いほどに、九条様は自由気儘に生きています……と、思います……あははは……」


──── あたしは何を言っているんだろう。