俺様御曹司は逃がさない

シュンッとして片付ける霧島さんを横目に九条の額に手を当てた。これ、結構熱上がってるんじゃないの?


「九条様、もう一度熱測ってもらえます?」

「あ?めんどくせぇからっ……」

「さっさと測ってくださいねー」


体温計を無理やり口の中へ突っ込んだ。

ピピッ、ピピッ……38.5℃。


「食欲は?」

「ない」

「そうですか。あの、霧島さん。氷枕と冷えピタと解熱剤と水分お願いできますか?」

「承知しました」


霧島さんが部屋から出ていくと、九条は再び布団の中へ潜った。


「もう帰れよ」

「いえ、そういうわけには」

「移るっつってんのー」

「……へえー。九条でもそんな気を遣うことなんてあるんだね」

「お前さ、俺を何だと思ってんの?」


“俺様(クズ)御曹司”……とは言えない。


「失礼いたします。七瀬様、お持ちしました」

「ありがとうございます。霧……島……さん……」


振り向いてワゴンを見てみると、病人が飲むとは到底思えないジュースの数々と、氷枕に冷えピタに薬……。霧島さんって意外と抜けてる?


「あの、霧島さん。そのジュース達は?」

「これは柊弥様がお好きなジュースっ……」

「スポーツ飲料もしくは経口補水液にしてください」