俺様御曹司は逃がさない

「あのぉ……すみません。お坊っちゃまの世話役から呼び出されたので、あたしはここで失礼いたします」


それだけを言ってドアを閉め、少し痛む体に鞭を打ちながら正門にダッシュした。

正門にキィィッとブレーキ音を立てながら停まった1台の高級車。すると、後部座席のドアが自動で開く。あたしはそこへ飛び込むように乗り込んだ。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……こっちが死ぬわ」

「すみません。急ぎます」

「……っ、ああ、はい。どうぞ」


──── そして、九条家の離れに連れて来られたあたし。


「七瀬ちゃん!!柊弥が、柊弥がっ!!」


玄関先でアタフタしている霧島さんが、あたしの肩をガシッと掴んで頭部を吹き飛ばす勢いで揺すってくる。


「……っ!!きりしまぁぁぁぁ!!!!」


あたしの叫び声は九条家の敷地内に轟いた。


「落ち着いてください!!あたしが死ぬっつーの!!」

「あ、ああ……ごめんごめん」

「それにキャラ設定がブレブレになってますけど、いいんですか?いつものクール執事キャラはどこへ!?」

「……申し訳ありません」

「で?なんなんですか?」

「柊弥様が……柊弥様が……高熱で」

 
・・・・ああ、風邪かな?あたしは霧島さんの隣を歩きながら、九条の部屋へ向かっている。