「九条様~」

「……」

「おーーい、九条様~」

「……」

「ねえ、寝てるの?九条っ……!?」


寝ている九条を覗き込もうとした時、ガシッと手首を掴まれて、一瞬で布団の中に引きずり込まれた。


「お前、男の部屋にノコノコ入って来るとか、警戒心なさすぎでしょ。馬鹿じゃねーの?」

「なっ!?だ、だって……あんたが『起こしに来い』って言ったんでしょ!?」


何故か九条に包み込まれてしまって、完全に身動きが取れなくなってしまった……。ていうか、相変わらず距離感バグ!!


「危機管理がなってないねーー。ダメじゃん、そんなんじゃさ」


何を考えているのか分からない顔をしている九条。ただあたしをジーッと見ている。

さすがのあたしも、見た目だけは無駄にいい九条と布団の中でこんなにも密着していたら、そりゃドキドキしちゃうでしょ。

何か言わなきゃって思ってるのに緊張して喋れない。めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど──。


「……っ、あ、あのっ」


声が震えるわ、顔がアツいわ……もう最っ悪です。


「緊張してんの?」

「ちがっ……」

「……お前、それは反則だわ」

「え?」

「他の男にそんな顔すんじゃねえぞ」

「え?それはどういうぅうんぐっ……!?」