「そろそろ教室へ行こうか。柊弥、ちょっといいかな?」

「あ?なに?」

「前田さん、舞ちゃん連れて先に行っててくれるかな?」

「承知いたしました。では、参りましょう」

「え、あ、はい」


上杉さんとは違って、前田さんは良い意味で他人に一切興味がない。

彼女に何かをする……なんてことはないだろう。だから、前田さんに任せておくのが無難。

僕と柊弥以外が出ていった部屋は、とても静まり返っていた。


「んだよ」

「彼女のことが本当に大切なら、今すぐサーバントを辞めさせるべきだ。分かっているだろ?柊弥のサーバントになるってことはっ……」

「狙いの的になる……って言いてぇんだろ?」


“そんなことは重々承知”と言わんばかりの顔をして僕を見ている柊弥。


「何をされるか分かったもんじゃないよ。陰湿なことをする奴も必ず出てくる。だからっ……」

「仮にあいつのことが大切ってんなら、サーバントにすべきでしょ。これから一生俺の傍に居るとして、この3年間俺の傍に居るのが耐えきれず、壊れちまうのなら……それまでだったってことだろ。逆を言えば、この3年間俺の傍に居れたら……ま、無敵ってことっしょ」


・・・・驚いた。まさか柊弥……彼女のこと本気なのか?いや、まだ自覚していない可能性もある。


柊弥が自覚する前に、彼女を試す必要があるな。変な虫だったら、排除しなくてはならないからね。


「随分とお気に入りなんだな。舞ちゃんのこと」

「……だから言ったろ?“最高のおもちゃ”だってさ」


・・・・柊弥には悪いけど、彼女はきっと……すぐに壊れてしまうよ。