まあ、時代に取り残された老いぼれジジイの戯れ言だと思ってくれ。


「だっ、大丈夫ですか!?」


若そうな小娘の声が聞こえるのと同時に、肩を軽く叩かれた。

・・・・今さら顔を上げるわけにもいかん。こうなったら意地でも顔は晒さんぞ。エスエヌエスとやらにアップする写真は何がなんでも撮らせん!!

さて、この小娘が去るのを待つか……そう思った時──。

両肩をガシッと掴まれ、死ぬほど揺さぶられた。今時の言葉で言うと『下手すりゃワンチャン死ぬ』というやつだな。


「おじいちゃん!!死なないで!!」


声を張り上げて、必死になっている小娘。

・・・・今の世の中も捨てたものではないか。これはこれで……悪くはない、のかもしれんな。


──── というか、死ぬ。


「ねえ!!おじいちゃっ……」

「し、死ぬわぁぁーー!!!!」


目がグルングルン回って、景色もろとも歪んで見える。ワシの眼球は無事なのか?

そして、徐々に見えてきたのはワシを殺そうとした小娘。


──── なるほど、そうか。悪くは……ない。


ハッキリ見えた小娘の容姿は、そこそこ……いや、結構綺麗な顔立ちをしておる。にも関わらず、素朴で化粧っ気もなければ服装も地味……というか、飾りっ気がなく拘りが無い……といったところか。こう言っちゃあなんだが、容姿端麗なわりに……“貧乏くさい”この一言に尽る。