「君は“七瀬舞”で間違えありませんか?」

「は、はい……」

「君、九条様のサーバントですよね?」

「は、はい……」

「君、何様ですか?」

「……はい?」


この人……眼鏡の奥にある瞳がめちゃくちゃ怖いんだけどぉぉ。


「九条様に向かって『九条』とは、何事ですか?とお聞きしているんです」

「いや、別に……本人から了承を得てっ……」

「そういう問題ではありません。君にはペナルティを科します」

「え、ちょっ、ペナルティって!?」

「1週間、校舎内すべてのトイレ清掃……以上です。これからは九条""様""を付けなさい」

「あの、意味分かんないんですけどっ……」

「分かりましたか?」


ものすんごい形相で圧力をかけられる。


「返事は?」

「……はい」


少しズレた眼鏡をカチッと戻して、姿勢正しく去っていく眼鏡君。

・・・・ていうか、何様?あんたこそ何様なんだっての!!

そう思ったらだんだんと腹が立ってきた。ここで大人しく黙っていられるような女でもないし、気に入らないもんは気に入らない!!


「ちょっと!!」


廊下を歩いている眼鏡君を呼び止めた。


「なんでしょう。あと、声うるさいですよ」

「そんなの知ったこっちゃない。だいたいあなたに何の権限があって指図してくるわけ!?別にあいつをどう呼ぼうがあたしの勝手だし、1週間トイレの掃除とか理不尽にも程があるでしょ!!」