「おじいちゃん!!死なないで!!」


声を張り上げて、必死になっている小娘。


・・・・悪くない……かもしれんな。


────── というか、死ぬ。


「おじいちゃっ……」

「し、死ぬわぁぁ!!!!」


目が回って、景色もろとも歪んで見える。

そして、徐々に見えてきたのはワシを殺そうとした小娘。


────── 悪くは……ない。


ハッキリ見えた小娘の容姿は、そこそこ綺麗な顔立ちをしておるのにも関わらず、素朴で化粧っ気もなければ服装も地味。


・・・・直感で思った。

根拠も何もないが、バカ孫にはこの小娘しかいない……とな。




「てなわけで、逃げられたわ」

「それは逃げますよ……賢明な判断ですね」


ワシのお付きをしている日下部が、ルームミラー越しに呆れた表情をしながら車を運転している。


「日下部、言わんでも分かっておるな?」

「はぁぁ。相変わらず邦一様はムチャ振りが過ぎますね。……分かっていますよ。善処致します」


大きなため息をつきながら、やれやれと言わんばかりの顔をして、ガクッと肩を落とす日下部。

ただでさえ忙しいのに、余計な仕事を増やすなクソジジイ……といったところか。

まぁ、日下部のことだ。


────── 1週間もあれば見つけ出すだろう。