綺麗に制服を整えてくれて、先輩は私を抱っこするみたいにして立たせてくれた。

「サボったことどうしよう」

「心配することなんか無いだろ。言っといてやるよ」

「それって職権乱用って言うんですっけ?」

「そうだな」

先輩は笑ったけれど、目は笑っていない気がした。

「今日生徒会無いけど、もう帰んの?」

「親友が欠席してるんでお見舞いに行きます」

「ふーん」

生徒会室を出ていこうとしたけれど、もう一度振り返って、聞いた。

「なんで初めての生徒会の日、ブスって言ったんですか?」

「まだ根に持ってたのかよ」

「根には持ってません。こんな風に想ってくれてたのに意地悪言って、また急に態度変えたりして…」

「ただの嫌がらせだよ…」

「嫌がらせ?」

「お前が俺を忘れてるからムカついたんだよ!」

「…小学生みたいですね」

「うるさい。早く行け。俺にめちゃくちゃにされたくなかったら」

「本郷先輩、私の気持ち…」

「カナデ」

「え?」

「あのさ、お前が隠してることとかお前が俺をどう思ってるかとか今はいいからさ、カナデ、って呼んでみてくんない?」

「え…っと、カナデ………くん?」

「あー、バカだわ俺」

「はい?」

「本物のバカ!地雷踏んだわ」

「なんでですか?」

がしがしと頭を掻いた先輩が私に背中を向けてぶっきらぼうに言った。

「名前呼び、殺傷能力えぐい」