その日、私は一日中頭を痛めていた。

 うぅっ、確かにこの時期は教育実習生が来る時期だけども……。

 その人が、よりにもよって匡君だなんて……。

 はぁ……と、何度吐いたか分からないため息が零れる。

 どうしよう、絶対平常心じゃいられないよっ……。

「さっきから百面相して、どした?」

「うぅ~ん……ちょっと危機に直面してる。」

「めっずらし、ゆまっちがそう言うなんて。」

「私だって弱音くらい言うよ~……。」

 お昼休憩、私の悩みを知らない初音ちゃんは、もぐもぐと焼きそばパンを頬張りながら首を傾げる。

 当然、内容が言えない私は口ごもる他なかった。

 やっぱり、本人に直接聞いてみるしかないよね……。

 いつまでこうして悩んでたって、どうしようもないんだし変えられるわけでもない。

 だったらできる事は、匡君に話を聞くくらいだ。

「お、今度はすっきりした表情になった。解決したん? その危機とやらは。」

「とりあえず!」

「それなら良かったな~。」

 ぱちぱちぱち~と緩い声で言う初音ちゃん。