愛を語るより…

そうして暫く続いたドライブは、彼が車を停止した所で一旦区切られた。


彼は此方を向くと、柔らかく微笑んでから私の髪を一房くるりと自分の指に絡ませる。


「さて、と。さっきから可愛いことをしてくれちゃう香帆ちゃんに、俺は如何したらいいのかな」

「ど、どうって……っ」

「少しのキスだけで顔を真っ赤にさせて。俺のこと考えてるだなんて、潤んだ瞳で訴えられて…ほんと、俺のこと如何したいの?」


怒っているわけでもなく、揶揄っているわけでもない、なのに…とろとろと蜜のように私を蕩けさせるような、確実にその身に留めさせる視線に、背筋がゾクゾクと騒がしい。


「え、っと…その…」


そんなことはしてない…と言いたいのに、彼は私の髪をくるくると指に巻き付け、そのまま其処にキスを落としてくる。


「ほんと…こんなこと言うのは、性急過ぎて嫌だけど。香帆ちゃんが可愛くて愛しくて、このまま誰にも見付からない所に攫っていきたいくらいだよ…。これって、半分誘拐みたいなもんだよね」


そう言ってから、こてんと、首を傾げる彼に私は白旗を上げる。


「あ…蒼さんになら……いい、ですよ、?」

「あー…もー…そういう所に惹かれたんだよ。だから…これからも末永くお付き合いしてくれませんか?」