「…あのー」
「ん?お、律ちゃん」
「……アイス、ありがとうございました」
食べ終わったクッキーのお皿と、ジュースを飲み終えたコップ。
ついでにアイスのゴミを運びながら、ちょうどリビングにいた彼に小さく声をかける。
真琴はそんなことしなくていいって毎回言ってくるけど、さすがに家にお邪魔している身の最低限ってもんがあるし。
「いえいえー。てかごめん、ココア味しかなくて。律ちゃん好きなのソーダ系よね」
「…いや、基本なんでもいけるんで大丈夫です」
「ふっ。いい子」
ソファーに座りながらくるっと、顔の向きを変えたお兄さん。
整ったルックスに加えて人の良さそうな笑い顔に、どれだけの女が釣られていることか。
それにしても私がソーダ系を好んでいることまで、この人はわざわざ覚えてくれている。
「あいつ、律ちゃんのぶんも奪ったりしてない?」
「……してない、です」
「…そ?なら安心」



