「律ちゃんよ、アイスだったら何がいいかね」
「…えーっと、」
「ちょうどポイントも貯まってるし妹のお世話のお礼にと思って。ま、コンビニなんだけども」
「えーもうっ!妹のぶんはないのっ!ひどすぎるっ!こうなったら非行に走ってやる…!」
なーに言ってんだか。
たとえなにがあろうと非行にだけは走っちゃダメだろ真琴。
バタバタと分かりやすく駄々を捏ねている妹へ、見慣れた男子制服姿の藍(あい)さんは「おい5歳児」と、本気で投げかける。
「おまえは新発売のもんなら文句ないだろ」
「ないっ!!」
さすがお兄さん。
妹の好みと扱いは熟知しているようで。
「ってことで律ちゃんは?お任せなら俺がテキトーに選んできちゃうけど」
「…じゃあ、パキッと割って…半分にできるやつで」
「あ~、ふたりで分け合えるやつか。…はいよー」
どうやら藍さんは私のやろうとしていることを察したっぽい。
「やっさしいなあ」と、含みある微笑みを落としてから、ドアを閉めていった。



