『やっと俺のほう、見てくれるようになってんのに……なんで今なんだよあいつ…』
「…友達として、私も彼女が心配なんです」
『……ほんと?信じていーの、それ』
「信じてくださいよ…いいかげん」
かなり藍先輩に感謝してる毎日だ。
彼女と普通のクラスメイトに戻っても、この人が隣にいてくれたから寂しさはわりとすぐに終わった。
慣れってものが来て、同時に新しいものに目を向けてみようって意識に変わったんだ。
『…わかった。真琴を見つけたら、とりあえずすぐ連絡してほしい』
部屋着のまま、私は階段を駆け降りた。
「律っ、真琴ちゃんが帰ってこないって本当なの…!?」
「だから探しにいってくる…!!お母さんのほうにも何かあったら電話してっ!!」
「わかったけど…、律!外もう真っ暗だから気をつけるのよ…!!」
「わかってる!!」
事故とか、誘拐とか。
このご時世、まさかって思ってなんかいられないよ。
ぜんぶありえる話だ。
昨日も見たでしょ、91歳のおじいさんがアクセルとブレーキ踏み間違えて横断歩道を渡っていた親子を轢いたって。
11月末の空は、日なんかとっくに落ちていた。



