「真琴ー、リリコたちと一緒でも……って、いないし」
「あれ?さっきまでいたよね?」
「……ちょっと先食べてて。探してくる」
「はいよー」
正直言うと、私も分かんない。
どれが正しいのかなんて、わからないよ。
でも間違ってはないだろう、って気持ちでアクセルを踏みつづけてる毎日だ。
「さすがにそれは弁当が可哀想だろ」
「っ!…りっちゃん」
「ここネズミとかGとか出るらしいけど」
「……うん」
真琴がひとりでお弁当を広げようとしていた場所は、生徒にも先生にも気づかれない非常階段だった。
学校イチのアイドルがこんなとこで弁当って……アウトでしょ。
上鷹 汀なにしてんだあいつは。
「慣れてるからへーきだよ。前の学校のとき、こんな感じだったもん」
「…………」
「お弁当の味は変わらないしっ、ちょっと…さみしいくらいで」
そーやって悲劇のヒロインぶるつもり?
悪いけど同情心とか無いから。
バカじゃんおまえって思うくらいだよ。
むしろ笑ってやってもいい。



