「りっちゃんに嫌われたくないから…」
「…………」
「上鷹先輩のこと、りっちゃんも好きだったんだね。…わたし……りっちゃんなら、いいの」
アホだ。
そっちにいったか…という落胆と、変わってない鈍感さに少しの安心。
「バカかよ」
「…うん。バカだもん」
「上鷹先輩も主将を断ったって、そーいうこと?」
ウワサで聞いたくらいだけど。
同じクラスの柔道部が、部の雰囲気がありえないくらい悪いと言っていた。
それは3年生からの推薦を断ったエースがいるからだと。
主将になるべき存在が、“自分はなりたくない”だの“資格がない”だのと言ったらしい。
「はあ…。なにしてんだよマジで」
ため息ごときにいちいちビビんな。
私はこーいう性格だって知ってんでしょ。
なに、2年間の記憶ぜんぶすっ飛んだ?



