「りっちゃん。わたしね、上鷹先輩とお別れしたよ」
久しぶりに声をかけられたかと思えば、上履きからローファーに履き替えようとした私に爆弾発言を落としてくる。
そんな泣き腫らした目で、なにやってんの。
先生もクラスメイトもここ数日間ずっと腫れ物扱いだよ。
「…なんで?」
トントンと踵をしまいながら何気なく聞いた。
リュックのショルダーストラップをぎゅっと握りしめた真琴は、それ以上に唇を噛む。
やっと私からのアンサーが返ってきて泣きそうにもなっていた。
「りっちゃん…、ごめん」
「…なんで別れたの?」
「わたし…、りっちゃんの気持ちなにも分かってなかった……、なんにもだよ」
「だからなんで別れたのって聞いて───、……ごめん、強く言いすぎた」
初めて会った頃と一緒じゃん、それ。
ビクビクしておどおどして私の顔色ばかり伺う“真琴ちゃん”だ。
どーせ今は母親の腕がそばにないから、リュックを握ってるんだろ。