「…片付け、してきます」
そう言って階段を下りていって、残された俺はマンガを片手に部屋を見渡した。
「……ん?」
ぐしゃぐしゃに丸められた紙が、本棚と机の隙間に見える。
なにを思ったか俺は手を伸ばして拾い、シワを直しながら開いてみるとそれは、1枚のルーズリーフ。
所々に落ちている涙の跡。
滲んで不恰好な文字。
「────……」
“きみとしてみたかったこと”
という書き出しから、箇条書きでいくつか。
名前を書けなかった彼女の弱さをまた俺は好きになって、その憧れを読むたびに胸が締めつけられる。
これは俺が律としてみたいことにも当てはまるし、当たり前のように手にしている恋人たちはこの世界に山ほどいるだろう。
純愛だよ、これは。
きみの恋は、だれがなんと言おうと、誰にも負けない恋だったんだ───。



