〜次の日の朝〜

学校へ行く支度をして…
「お父さ〜ん?学校行ってきま〜す!」
寝ぼけ眼のお父さんに声をかける。
「ん〜。」
「あっ、お母さんっ、行ってきます。」
写真の中で笑っているお母さんは、いつもより笑顔に見えた。

そういえば、バイトのこと忘れてたけど、急に不安になってきた…(泣)
「お父さん、”友人”に相談するって言ってたけど、大丈夫かなぁ…。」

そんな事を考えてぼーっとして歩いていると…
ドンッ‼︎
「きゃっ! …す、すみませんっ‼︎」

男性にぶつかってしまいましたっ‼︎
慌てて謝ると、その男性の口から、ありえない言葉が出た。

「あっ、すみませ …‼︎…もしかして君って、“姫乃梨々”ちゃん?」

え…⁉︎この人何で私の名前知って…っ
その“見知らぬ男性”は、私の“名前”を知っていた。

「ちょっと話があるから、ウチに来てよ。」

…はぁっ⁉︎

この人…一体何者⁉︎怖い…っ
「あなたは…ど、どなたですか…っ⁉︎」
恐る恐る聞いてみると…
「あぁ、ごめんなさい。紹介が遅れたね。私は君のお父さんの友人の、「一ノ瀬 圭(Itinose Kei)」。よろしくね。」
まさかの…お父さんのお友達でした‼︎
「すみませんっ!不審がってしまって…。」
「いや、こちらこそ、驚かせてすまなかった。…で、本題なんだけど、梨々ちゃんてバイト探してるんでしょ?」
…いきなりバイトの話⁉︎

「はい。でも、自分に合うバイトが見つからなくて、困っていまして…」
「じゃあ、ウチで働いてみないかい?丁度探していたんだよ。」


…は⁉︎
聞き間違い、だよね?
「ウチ…って…、圭さんのお家…ですか?」
私がそんなところで働けるはずがない。
「そうだよ。」
圭さんの答えは…「はい」だった。
ますます分からなくなるっ…‼︎
「君のお父さんにももう話してあるし、住み込みメイドとしてウチで働いてくれたら、給料は梨々ちゃんの望む額で良いよ。」
え…⁉︎えええええっっ⁉︎

私、どうなっちゃうの〜っ⁉︎

…っていうか、学校‼︎遅れる‼︎
「と、とりあえず、学校の後で…でいいですか…?」
「OK。じゃあ学校が終わるまで待ってるね。」