「……少しだけ、怖いの」
私は目を伏せて言った。こんなことを思ってしまう自分に罪悪感があった。
「雲朔様が?」
亘々の問いに、小さく頷く。
「残虐帝と呼ばれているらしいですね。でも、きっとなにかの勘違いですよ。だって、あの雲朔様ですよ? 皇子の中でも一番お優しくて穏やかだった方です。八年の間、色々あったのでしょうけれど、根っこは変わっていないはずです」
亘々は明るく言った。心からそう信じている様子が伝わってきて、私も少し安心した。
「そうよね。雲朔は雲朔よね」
「もしも変わってしまわれたのなら、お嬢様を探しに行きませんよ。こんな豪邸も与えられて、変わらず雲朔様に愛されるお嬢様は国一番の幸せものです」
「ふふふ、そうね、亘々の言う通りだわ」
これ以上、なにを望むというのか。父の仇である憎き盾公を討ち果たし、国を取り戻した雲朔。望んでいた以上のことをしてくれた。
(まさか、皇帝になるなんて)
虫一匹のために命懸けで冷たい川に飛び込むような優しい少年が、国を奪い取るだなんて想像もできなかった。
(そうよ、雲朔は雲朔よ。大丈夫、根の部分は変わっていないはずだわ)
私は目を伏せて言った。こんなことを思ってしまう自分に罪悪感があった。
「雲朔様が?」
亘々の問いに、小さく頷く。
「残虐帝と呼ばれているらしいですね。でも、きっとなにかの勘違いですよ。だって、あの雲朔様ですよ? 皇子の中でも一番お優しくて穏やかだった方です。八年の間、色々あったのでしょうけれど、根っこは変わっていないはずです」
亘々は明るく言った。心からそう信じている様子が伝わってきて、私も少し安心した。
「そうよね。雲朔は雲朔よね」
「もしも変わってしまわれたのなら、お嬢様を探しに行きませんよ。こんな豪邸も与えられて、変わらず雲朔様に愛されるお嬢様は国一番の幸せものです」
「ふふふ、そうね、亘々の言う通りだわ」
これ以上、なにを望むというのか。父の仇である憎き盾公を討ち果たし、国を取り戻した雲朔。望んでいた以上のことをしてくれた。
(まさか、皇帝になるなんて)
虫一匹のために命懸けで冷たい川に飛び込むような優しい少年が、国を奪い取るだなんて想像もできなかった。
(そうよ、雲朔は雲朔よ。大丈夫、根の部分は変わっていないはずだわ)



