天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

雲朔は宮廷に戻り、私は後宮に残された。女官たちがたくさんいるし、身の回りのことは全てやってくれる。至れり尽くせりの環境であるにも関わらず、私は孤独を感じていた。

この気持ちをどう表現したらいいのだろう。

 亘々が来れば変わるだろうか。

 亘々は、あの雲朔が残虐な新皇帝だったと知ってどう思っただろうか。

 雲朔が怖いと言ったら、なんというだろうか。

 浴室に案内されると、幻想的な光が室内から零れていた。浴室の壁は、陶製の連枝灯が飾ってあり、そこから明るい光が放たれている。そして、青銅製の大きな浴槽には、女官たちがせっせと運んでくれたお湯がたっぷりと入っていた。

 ちょうど良いお湯加減になっているお風呂に浸かると、優しい香草の匂いがした。お湯は滑らかでとても気持ちがいい。

 ある女官は湯船に浸かっている私の髪を丁寧に洗い、また別の女官は爪を磨いていた。たくさんの女官に囲まれながらお風呂に入るのは慣れないが、女官たちの腕がいいのでだんだん気持ちよくなってきて力が抜けていく。