天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 私付きの女官が十人以上いて、たった一人のためにそんなにいてもやることがないだろうと思う。

「どう? 気に入った?」

 驚き戸惑っている私の横で、雲朔は腕を組んで微笑んだ。

「私、女官は亘々だけで十分よ」

 亘々は隔離先の街から呼び寄せて、急ぎ宮廷に向かっているという。

 亘々が今の言葉を聞いたら、「こんな広い宮殿、どうやって一人で掃除するっていうんですか!」と怒りそうだ。

 本音をいうならば、こんなに豪華で広い室も持て余してしまう。ボロ小屋に住んでいた期間が長いため、贅沢に慣れない。

「華蓮には、最高の環境を用意してあげたいんだ。長いこと不遇の時を過ごさせてしまったから。待たせてごめんね」

「そんなこと……。約束通り、迎えに来てくれてありがとう」

「当然だ。華蓮のためなら国をも奪う」