「本当に存在していたぞ」

「簡素な身なりながら美しい」

「そりゃ陛下の最愛人だぞ、美人に決まっている」

 好奇な目に晒され、色々な声が聞こえてくるので、お姫様抱っこされながら両手で顔を覆った。顔だけじゃなく耳も塞ぎたい。恥ずかしすぎる。

 村を焼いたのは、私の読み通り、流行り病のためだった。しかしながら、村人全員が殺されたと思っていたのは勘違いで、「こんな不衛生な環境では病が広がっても仕方がない」という皇帝の判断で村人全員を近隣の街に避難させていたのだ。

 もちろん、その中には亘々が含まれる。亘々の無事が分かった私は、心の底から安堵した。そして、心置きなく雲朔との再会を喜んだのだった。

「ここにも華蓮はいなくて、別の村に探しにいこうと諦めたけど、なんだか胸騒ぎして戻ったんだ。良かった、見つけられて」