「どこにもいません!」

 半泣きの声を上げる盾公の臣下たち。

「いないはずがないだろう! 秘密通路は⁉ もう一度隈なく探せ!」

(しまった、盾公は秘密通路の場所を知っていたんだ。だからさっき鍵が開いていたのか!)

 僕はすばやく秘密通路の分かれ道に走った。そしてわざと間違えた道を選ぶ。

 彼らは一度秘密通路内を探索している。探すなら正しい道を選ぶだろうと思った。

 僕の読みは当たり、僕を見つけ出さねば自分たちの命はない臣下たちは真っ青になって秘密通路を駆け抜けていった。

さあ、どうするか、僕は必死に考えた。

(どうやって秘密通路から抜け出す? 多くの臣下が通路内を探している中、それらの目をかいくぐって抜け出すことは不可能に近い。それに、出口を見張られたら終わりだ。どうする? どうすれば……)

 考えれば考えるほど絶望的に思えた。