天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

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僕は長く続く暗渠の暗闇の道を戻りながら、冷静に戦況を考えていた。

(おそらく、皇帝派は負けるだろう。この戦争は仕組まれたものだ。最近の宰相の動きは怪しかった。なんらかの仕掛けを軒轅鏡にほどこし落下させ、父上を殺した。綿密に計画されていたのなら、なんの対策もせず奇襲をくらった皇帝派が勝てるわけがない)

 僕の息が上がる。元々体が弱く、無理はきかない。体力はもう限界だった。

(僕は、負けた後のことを考えなければいけない。宰相は皇帝派を根絶やしにするだろう。

皇帝の信頼が厚い禁軍大将の娘が生き残っていると知ったら、草の根をかきわけても探し出し処刑するに違いない。

それに、皇帝は天命により亡くなったとする筋書きにするならば、次期皇帝は、血筋関係ない宰相がなるはずだ。

あんな奴に皇位を継がせてなるものか)